推拿(Tui na)は、古代中国から伝わる伝統的な手技療法(マッサージ)であり、あらゆる手技療法(指圧・あん摩・整体など)の源流でもあります。
この記事では、推拿の魅力に迫り、その世界を探ってみましょう
推拿(すいな)とは?
推拿(すいな)は、中国伝統医学の手技療法で、そのまま日本語読みすると「スイナ」となります。
正式には「Tui na」と読むので、「トゥイナ」が正しい発音かもしれませんね。
日本ではあまり浸透していないため、「中国整体」と分かりやすく掲げている整体院も多いようです。
推拿は、生命力やエネルギーの源である「気」の滞りが、身体の痛みや病気を引き起こす可能性があるという理論に基づいています。
その気の流れを刺激して、体内のバランスや調和を整えることを目的としています。
鍼治療に似た考え方で、中医師は鍼と推拿を併用して治療を行うこともあります。
推拿(すいな)の目的とは
推拿の哲学と原理は、気候や人間関係、食事などの側面だけでなく、人の幸福感や感情的および身体的要素に焦点を当てた伝統的な中国医学に基づいています。
推拿の目的は、気の停滞を引き起こすエネルギーブロックを取り除いて、痛みや病気、感情的な問題を解決し、身体と心に調和をもたらすことです。
経絡とツボに焦点を当て、身体の気と血液のバランスを整えて健康を改善していく流れとなります。
推拿(すいな)の手技・テクニックとは
推拿のマッサージ手技は奥深く魅力的で、あらゆるテクニックや速度、圧を駆使して施術します。
陰と陽、静と動を意識したマッサージでもあります。
基本的には日本で行われているボディケアやもみほぐし、あん摩などのテクニックと大差はありませんが、より軽快でリズミカルに、流れるような手技で筋肉をほぐしていきます。
指圧や筋膜リリース、ストレッチ、運動法のテクニックも多用します。
歴史 推拿(すいな)の歴史とは:2000年の時を超えて
起源 黄帝内経に記された起源
推拿(Tui na)は、中国伝統医学の一部として、紀元前2000年以上前から存在していたとされています。
その起源は、古代中国の医学書「黄帝内経」に記されています。
この古典的な文献には、推拿の手技や理論が詳細に記述されており、その基本的な原則が確立されました。
発展 王朝時代における発展と普及
中国の歴史的な王朝時代において、推拿は発展し、広まりました。
特に唐代や宋代において、推拿は宮廷医師や一般の人々によって広く実践されました。
この時期には、推拿の手技やテクニックがさらに洗練され、多くの治療家がその技術を継承しました。
現代 世界中の人々を魅了する推拿
現代では、推拿は中国国内外で広く知られ、多くの人々に愛されています。
世界中のスパやマッサージセンターで、タイ古式マッサージとしても提供されています。
推拿は、身体の不調を改善し、心身のバランスを整えるための有効な手法として、世界中の人々を魅了しています。
推拿(すいな)の特徴:多彩な手技で心身を癒す
手技 100種類以上の手技による体の隅々へのアプローチ
- 按法(あんぽう):「押す」という意味で、手のひらや指、肘などを使って、体の特定の部位に圧をかける技です。血行を促進し、痛みを和らげる効果があります。
- 拿法(なほう):「つまむ」という意味で、指先を使って皮膚や筋肉をつまみ上げる技です。気の流れを整え、筋肉の緊張をほぐします。
- 揉法(じゅうほう):「もむ」という意味で、手のひらや指を使って皮膚や筋肉を揉みほぐす技です。筋肉のコリを解消し、リラックス効果があります。
- 擦法(さっぽう):「摩擦する」という意味で、手のひらや指で体の表面を擦る技です。体温を上げ、血行を良くする効果があります。
- 推法(すいほう):「強くなでる」という意味で、手のひらや指で体の表面を強く押しながら滑らせる技です。気の流れを促進し、疲労回復に役立ちます。
- 振法(しんぽう):「振動を与える」という意味で、手や指を使って体に振動を与える技です。筋肉の緊張を和らげ、血液循環を促進します。
- 一指禅推法(いっしぜんすいほう):親指を使って特定のツボを刺激する技です。深いリラックス効果があり、内臓機能の調整にも効果的です。
- 断筋法(だんきんほう):筋肉をほぐすことを目的とした技で、筋肉の緊張を解き、柔軟性を高めます。
- こん法(こんぽう):体の表面を転がすようにしてマッサージする技です。リンパの流れを良くし、老廃物の排出を促進します。
- 叩打法(こうだほう):手のひらや拳、指を使って体を軽くたたく技です。筋肉の緊張を和らげ、気の流れを改善します。
- 抖法(とうほう):四肢を揺らすことで、関節の可動域を広げ、筋肉の柔軟性を高める技です。
- 屈伸(くっしん):肘や膝などの関節を曲げ伸ばしすることで、関節の動きをスムーズにし、筋肉の緊張を和らげます。
- 揺法(ようほう):関節を回す動作で、関節の可動域を広げ、筋肉の緊張を和らげる効果があります。
- 扳法(ぱんほう):押しながら引く動作で、体のバランスを整え、筋肉の緊張を和らげる技です。
これらの技は、それぞれ特有の効果があり、組み合わせて使用することで、体の不調を改善し、全体のバランスを整えることができます。
推拿は、痛みや病気の治療だけでなく、健康維持やリラクゼーションにも有効です。
ツボ 経絡とツボを刺激し、気の流れを整える
推拿は、経絡とツボに焦点を当てて施術します。
経絡は気の流れを通す通路であり、ツボは特定のポイントです。
経絡とツボを刺激することで、気の流れを整え、身体の調和を促します。
整体 骨格の歪みを矯正し、体のバランスを整える
推拿は、整体的なアプローチも含みます。
骨格の歪みを矯正し、体のバランスを整えることで、身体の不調を改善します。
整体的な手技は、筋肉や関節、骨盤などにアプローチし、全身の調和を取り戻す効果があります。
効果 推拿の効果:心と体の健康をサポート
疲労回復 慢性的な疲労やコリを根本から改善
推拿は、筋肉や経絡を刺激することで、慢性的な疲労やコリを和らげます。
特に肩こりや腰痛、首のこりなどに効果的です。
体の隅々までアプローチし、疲れた筋肉をほぐしてリラックスさせます。
ストレス解消 心の緊張を解き放ち、リラックス効果
推拿は、リラクゼーション効果も高いです。
施術中に気持ちよくリラックスでき、ストレスを軽減します。
心身のバランスを整え、心地よい状態に導いてくれます。
血行促進 体の隅々まで血液を巡らせ、代謝アップ
推拿は、血行を促進する効果があります。
経絡やツボを刺激して、体内の血液の流れを改善し、代謝を活性化させます。
体の隅々まで血液を巡らせることで、健康をサポートします。
美容 むくみや冷え改善で、美肌効果も期待
推拿は、むくみや冷えを改善する効果があります。
特に足のむくみや顔のリフトアップに効果的です。
血行促進やリラクゼーション効果により、美肌効果も期待できます。